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北海道大学高等教育研究部

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研究部ノート

私の研究と大学教育

高等教育研究部教授 亀野 淳

私の研究面での関心事項は、「教育」と「職業」「雇用」「経済」の関連です。労働省に勤務していた時はどちらかといえば後者から前者を見ていました。北大に勤務してからはどちらかといえば前者から後者を見ています。いずれの見方においても、教育がマクロの経済発展や個人の雇用、職業、キャリアにどのような効果があるかということです。

私は、1987年に大学卒業後、労働省で政策立案や労働市場の分析、長期経済計画の策定、民間シンクタンクで産業構造の分析などに従事した後、2001年7月に当時の高等教育機能開発総合センター生涯学習計画研究部の助教授として採用されました。採用後は、学内のインターンシップやキャリア教育に携わり、また、これらの業務を通じて大学教育と職業の関係について研究をしてきました。したがって、大学卒業後のほぼ四半世紀に渡って、職業や教育について関わってきたといえます。

教育がマクロの経済発展に役立つというのはほぼ合意が得られているように思われますが、個人への効果については様々な意見があるのが現状です。典型的な例が、シュルツやベッカーらによって提唱された「人的資本論」とスペンスらによって提唱された「シグナリング理論」であり、これらの理論は相反するものの両者ともノーベル経済学賞を受賞しています。

私の研究の大枠を紹介すると、(1)インターンシップやキャリアに関する研究、(2)卒業生調査、(3)国際比較調査などです。(1)インターンシップやキャリアに関する研究については、インターンシップの内容や効果(学生、企業、教育機関)に関すること、特に就職・採用に関連性について研究を行っています。(2)卒業生調査については、高等教育の効果を卒業後の仕事や生活に着目した調査です。具体的には、①EU諸国と日本の国際比較、②北大生(2007年)を対象としたもので、北大としては最初に実施した卒業生調査となります。また、北大生を採用している企業調査(2010年)も実施しました。(3)国際比較調査については、訪問による聞き取り調査を中心にフィンランド、中国、エストニアなどで大学、政府、企業、経営者団体、労働組合、職業訓練機関などを対象に実施しました。

これらの研究を踏まえて、以下では、巷でよく言われる①大学で勉強したことは社会に出れば役立たない、②大学は就職のためにあるわけではないと2つについての私の考えを述べさせていただきます。詳細な分析については省略しますが、①については、国別にみても個人レベルでみても卒業後の職業によってかなりの影響を受けていますが、たとえ、直接的には(道具としては)役立たなくても間接的には(眼鏡として)役立つというのが私の考えです。もちろん、こんなに単純ではありませんが。②については、企業が求める能力と大学教育で向上できる能力の方向性は大きく異なっているわけではなく、大学の教育は就職にも役立つといえます。

私は、本学の卒業生が社会の第一線で活躍することを願っています。変化が激しく、多様な価値観が尊重される社会において、もちろん、第一線で活躍するというのはいろんな内容があってかまいません。その礎を本学での教育、生活で身につけてほしいと思っています。

私の経歴、研究業績について  http://researchmap.jp/junkameno

インターンシップに関する私の研究プロジェクトについて https://kameno-labs.jp/

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