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 高等教育関連用語集

高等教育に関する資料を読む際に,単語の意味がわからないことがあります。また,多くの読者は教育で用いられる専門用語には慣れていないでしょ う。そこで簡単な解説をもつ単語辞書を用意しました。これから,高等教育の日本と世界の現状の一部を窺うことができます。英語版用語集を再編集しましたの で,収録した単語に偏りがありますが,ご了承ください。

 

誤り等不備がありましたら,是非お知らせください。

 


IR:Institutional Research の略。広義では大学の教育,研究,管理運営すべての分析を意味する。IRとは組織の企画,政策策定,意思決定を支援するような情報を提供すること(Saupe,J.L. 1990)教育関連のIRのみを扱う場合,教学IRと称する。
アメリカ大学協会 : American Association of Universities。
一般教育 : general educationの訳。教養教育とややニュアンスが異なる。
(成績の)インフレーション: 相対評価ではなく絶対評価を用いると,例えば高校の内申書の 成績
が全体的に上昇しインフレーションをおこし,入試の際に毎年同じ評価を下せなくなる。
e-ラーニングシステム: 科目ごとにホームページを持ち,メール,掲示板,ファイルのダウ ンロードな
どが利用できるシステム。対面授業を基礎とした大学では,普段の講義に補助的に用いられることが
多い。この使い方をblended e-Learningと言う。1990年代終盤から世界に拡がる。日本は後進国。
学科の講義全体をこのシステムで行う大学が,日本でもあるが少数である。導入,維持,管理には
それなりの技術,費用,手間が必要である。使い始めると,意外に便利。
インターンシップ: internship。企業などにおける実務研修,実習訓練。日本では 希望者が数週間参加
する場合が多い。戦後すぐに導入された時期があったが,給与の問題で廃止された。最近教育の一環
で再開されたが,英国のように全員が参加し,半年から1年にわたって行われる制度ではない。
SD: staff developmentの略。事務職員の研修。事務職員の継続的な教育は国公立大学ではまだ一般化
していない。私立大学はこの点では進んでいる。
FD: faculty developmentの略。教育者の研修。いわゆる研修会から講演会,授業参観まで含まれ
るが,効果をあげることが要求される。教養教育,学部教育,大学院教育のそれぞれに必要であ
る。教員の教育技術を向上させるだけではなく,カリキュラムの継続的な改革も求められている。
OCW: Open Course Wareの略。MITで開始された,講義ノートをデジタル化して公開する試み。
無償で利用できる上に,MITの1000科目以上の講義ノートが公開されており,英語が堪能であれ
ば,最高の講義のノートを利用できる。これにより,高等教育の講義内容の標準化が加速され,
この試みに参加する大学が増えつつある。日本でもいくつかの大学が公開を始めたが,数では
MITに遠く及ばない。著作権のクリアに手間がかかることが日本でのネック。

 


学士課程 : 4年生大学の教育課程。卒業すれば学士号が与えられる。Degree programの訳。
学士号 : 4年生大学卒業時に授けられる学位。baccalaureate degreeの訳。
学習技術: learning skillsの訳。学習のための技術。現在ではパソコンを操るなど,高度な技能が
要請される。
学習成果: learning outcomesの訳。学生が学習の結果,身に付いた能力。客観的に社会に貢献
できる能力。
学習態度: learning attitudesの訳。大学までに養成されていることが望ましいが,指導の必要があ
ることもある。
学部一貫教育 : 教養教育と学部教育が一貫したカリキュラムのもとで行われていることを示す。教養
教育が独立していない。
カリキュラム: curriculumの音読み。教育内容を学習段階に応じて配列したもの。 教育課程。大学
の各学科には養成すべき学生モデルがあり,その理想を達成するため各科目を配置しなければなら
ない。学生モデルは時代や社会の要請によって変化するので,持続的な改革が求められる。
カリキュラム改革: curriculum reformの訳。教育課程の改良。教員,教育手段,教育評価の改革も含
む。強いリーダーシップと,持続的な社会や学生からの要求の分析と,取捨選択の判断が重要。
キャリア教育: 就職のために必要な知識や能力などの教育。広義には大学での教育全体を含 む。
教育学 : pedagogyの訳。教授法,教育,教職の意味もある。
教育目標: 各科目は,その学部での教育目標と関連する教育目標をもつ。 curriculum goalsの訳。
(教員の)業績評価: 一般に研究と教育ならびに社会貢献で評価される。研究については,論 文の投稿
数,投稿した雑誌の質(サイテーションインデックスによる)について表記できる。しかし,研究自
体の質についてはピアレビューが必要である。教育については,担当している講義数,対象の学生
数,指導している大学院生数などを表記できるが,その質についてはやはりピアレビューが必要であ
る。将来,ボーナス,昇級,退職金に関係するかもしれない。研究費配分については,すでに業績
評価を用いている大学がある。
教養教育: liberal educationの訳。教養教育。liberal arts と関連し,より以前からの教養教育のこと
である。今日では,この考えはすこし古くなっている。たとえば,日本ではこれまで独立していた
教養教育を,専門教育と有機的に連携させて,専門に対して一般教育というように使っている。米
国でも同じセンスである。
クリッカー: 学生に0-9までの数字キーを持ったリモコンを配布し,講義中にクイズの解答 や,講義の
感想などを瞬時に集計するシステム。最新の教育設備である。
研究大学: research universityの訳。米国の有数の大学が研究大学だからといって,教育に力をいれ
ていないわけではないところが驚異である。
高等教育: 大学,大学院,短大,高専の教育を総称していう。中学,高校とこれに準じる学校 は中等
教育,小学校は初等教育である。
コアカリキュラム: ある分野でそれだけは共通に教えておく必要のあるコア(核)となる科目 の群。
1991年の大学設置基準の大綱化で教養教育の単位数を独自に変更できるようになり,日本の多くの
大学は教養教育の単位数の削減に向かった。一方で,教養教育を大切にした大学も,それまでの文
部科学省の規定どおりの教育ではなく大学独自の教養教育を目指すこととなった。その実施の中心
となった理念。学生の申請できる単位数には限りがあるため,その範囲内で実効のあるカリキュラ
ムが必要である。

 

SAT : Scholastic Aptitude Testの略。米国で,高校生が大学に入学するために受ける全国統一試
験。大学進学適性試験,大学受験資格試験。大学とは独立した機関が行う。大学教員が試験監督や
問題作成などの補助をすることはない。
サービス・ラーニング: service learning。地域の行政サービスなどに学生を派遣して,現場の問題を
解決しつつ学習するしくみ。日本では,始まったばかりである。
GPA: grade point-averageの略。成績評価点平均(単位数重み平均)。例えば,成績評価を0から5
点までの範囲にして統一すれば,個人の平均点が得られ,全体の中での位置を知ることができる。
また,クラス全体の動向や,学年ごとの差異も推察できる。奨学金の採否や講座分属などに利用する
場合もある。
(教育の)資源: resourceの訳。学術の発展に利用される資源。たとえば,大学改革 を進めるうえ
で,現実的な視点で教育を研究をする所とその成果。
(大学教授による)自治: professional autonomyの訳。予算,資産,警察権等を教授団が自由に決
定できることを意味する。日本では遠い夢。
実績評価 : performance assessmentの訳。証拠evidenceをまとめて評価に備える必要がある。
(学生による)授業評価: すべての教員の講義は学生による評価を受け,講義の質の向上に努 めなけれ
ばならない。ただし,大きな手間をかけない程度に実施すべきである。日本では導入して間がなく,
質問項目の選定,有効活用は今後の課題である。
主専攻: majorの訳。米国では自分の専門以外に別の専門を学ぶことができる。自分の専 門を主専
攻,別の専門を副専攻と称する。広い視野を付けるための教育制度の一つ。
生涯学習: 日本では,大学あるいは各種学校等を卒業した後に,学習を始めるものを指すが, 米国で
はもっと広く,子どもの頃から一生学ぶ意味で,大学生は生涯学習者である。大学生は生涯学習者
になるべく学ぶ。あるいは,日本と同様の生涯学習,すなわち卒後に社会で新たな専門的学習をす
ることなどをさす。Life-long learningの訳。
上限設定: cap systemの訳。1学期に受講できる科目数の上限を決めること。大学の講義は選択の幅
が広い場合があり,放置すると1日中講義に出席する学生が現れる。1つの講義には4時間程度の
予習復習が期待されているが,1日5科目とればそれだけで20時間の予習復習をしなければならな
いが,それは事実上無理である。したがって,上限設定が必要になる。ちなみに米国の大学生は1
週間に3-4科目受講する程度である。
シラバス: syllabusの音読み。講義の摘要。講義要目。学年あるいは学期中の授業・ 講義の計画や内
容の概略を各時限ごとに記したもの。日本の大学では,A4版1枚程度の内容で講義全体を紹介する
ものをシラバスと称しているが,米国では各回の内容をすべて示す資料をシラバスと呼ぶ。これに
は,評価基準も明記しておかなければならない。主語は学生とし,何を目標に何を学ぶかを記述す
る。学生と教員の間の契約書である。すべての講義は,シラバスを提示してその通りに実施されなけ
ればならない。
(教育の)生産性: ある教育の成果として,どの位のことができるようになったか,具体的教 育成果
の項目をどの位あげられるかを問題にするときに用いられる。たとえば,一方通行の知識伝授型教
育で,学生がある知識を覚えたという知識の記憶にたいして,学生中心の学生参加型授業で,知識
を発見できる能力,リーダーシップ,社会感覚等が身に付いたといえることなど。
成績評価基準: 大学での成績評価を放置しておくと,同一質グループの学生に教員間で異なっ た評価
を判定してしまう可能性がある。優をたくさん出す教員と,不可を大量に出すことをいとわない教
員が同じ教科を教えると,大きな不公平が生じる。この改善のためには成績評価基準の設定が必要
である。相対評価が期待されるが,クラスサイズや教育内容などにより絶対評価を使うこともある。

 


大学改革: 英語ではtransformation。米国では1960年代から継続的に試み られている。英国では1990
年頃から,日本でもほぼ同じ時期に始まった。
(大学設置基準の)大綱化: 1991年に大学の一般教育(教養教育)と専門教育の区分,一 般教育内の
科目区分(一般(人文・社会・自然),外国語、保健体育)が廃止された。これにより,各大学は4
年間の学部教育を自由に編成できるようになったが,一方で教育研究活動について,大学自ら点検お
よび評価を行うことが求められた。今回の日本の大学改革の原点である。
タスクフォース: task forceの音読み。学習,調査などにおいて作業を貫徹するためのアドバイザー。
FDの補助者にも使われる。
単位: 単位制では学生の学習時間45時間をもって1単位(90時間で2単位)としている。 その内訳は
15時間の予習+15時間の授業+15時間の復習。
北大では90分の授業を1週に1回行い15週繰り返して2単位(実験・実習,体育,外国語では1単
位)としている。この場合,計60時間の予習,復習について指導を行わなければならない。
単位の実質化 :1単位45時間の内30時間の予習復習を実際に行うよう企図した講義のしくみ。
チュートリアル: tutorialの音読み。学生中心の授業で,教官が支援者として指導す ること。学生が主
体的に学ぶ小グループの担当教師が,学生の作業のアドバイザーをつとめる。指導する人をtutorと
いう。ケンブリッジ大学のように教師1名に学生2名の場合から,教師1名に学生10名程度の場合
がある。
TA: Teaching assistantの略。大学院生による教育補助。米国では講義を担当することもある。日本
では,90年代半ばから導入されている。学部教育の補助とともに,大学院生は教育の経験を積むこ
とになり,その意義が認められている。ただし,実施に前に研修が必要である。
テニュア: tenureの音読み。終身在職権。日本の大学では,つい最近まで教員すべてが 該当してい
た。米国では,試用期間の後試験があり,これにパスしなければ得られない。教員の質を保つため
の方策のひとつ。
トロウ・モデル: UCバークレーのトロウ博士が,1970年頃発表。同一年代層の大学進学 率が15%未
満の状態では、大学は「エリート型」のシステムをとる。15%~50%の段階になると「マス型」
のシステムに移行する。50%を超えると大学は「ユニバーサル型」という段階を迎えるという仮
説。各段階での予測される現象が指摘され,それらは,ほぼ現実化した。日本も,つい最近ユニ
バーサル段階に突入した。

 


入学試験: 日本のように,統一試験を課した上に各大学で入試を行う国はほとんどない。ヨー ロッパ
諸国は高卒の資格試験の成績と面接で行うことが多い。資格試験さえパスしていれば,どこの大学
でも入学できる国もある。米国ではSATなど大学の関与しない統一試験の結果と,申請書類,場合
によっては面接で決定する。統一試験でも各大学の試験でも,教員が入学試験問題を立案し,入試の
監督・採点まで行う日本の現制度は教員への負担が大きい。世界でも珍しい制度である。

 


ピアメンター: peer mentorの音読み。米国では学生の授業の指導に上級生の助けをかりる制度があ
る。日本のTA(teaching assistant) に相当するが,大学院生でなく学部生が補助をするもので,い
くらかの給与も出ている。
ピアレビュー: peer reviewの音読み。同じ専門の仲間からの評価。教官同志で様々な評価をするこ
と。たとえば,論文を読むことなど。
Ph. D.: Doctor of Phylosophyの訳。ドクタ-オブフィロソフィ-。一般に博士号のこと。近代の学
問全体がヨーロッパ中世の大学の哲学をその源にしているため,どの分野で博士号を授与されて
も,Ph.D.と称する。日本も同じ。
文理学 : 文系と理系の統合された学問。arts and scienceの訳。
ポートフォリオ : 大学教員が教育に関する業績をまとめたもの。これまでの教育実績(科目名,実
施期間,学生数,学生による授業評価など)に加え,教育に関する考えをファイルする。北米の大学
で一般的になってきている。大学によっては,毎年の提出を義務づけている場合もある。就職,昇任,
テニュア試験の際の重要な資料である。日本で本格的に採用している大学はまだない。teaching
portfolio あるいは teaching dossier と呼ばれる。

 


リカレント教育: recurrent educationの訳。日本では卒業後に,大学を利用して,新しい分野をさ
らに学び身につけていくこと。
リテラシー: literacyの音読み。何ものかを使いこなす能力。例えばコンピュータ関 連だと,「情報
リテラシー」という具合に使う。
ルーブリック: レベルの目安を数段階に分けて記述して、達成度を判断する基準を示すもの。 これ までの
評価法は認知領域を対象にした客観テストが主流を占めていたので、情意領域、精神運動領域の評価
は難しい。そこで,学習結果のパフォーマンスレベルの目安を数段階に分けて記述して、学習の達
成度を判断する基準を示す評価法。

2007年6月以来

2017年4月以来

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